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第18回女性史学賞授与式を実施しました(1月6日)

 奈良女子大学アジア・ジェンダー文化学研究センターは、歴史家で文化勲章受章者の故脇田晴子氏の提唱により2005年に創設された「女性史学賞」の運営を引き継ぎ、1月6日、本学としては7年目となる女性史学賞授賞式を行いました。「女性史学賞」は、ジェンダー視点をもつ優れた単著に与えられる賞で、通算第18回目となる今回は、寺澤優氏(日本学術振興会 特別研究員[RPD・広島大学])の『戦前日本の私娼・性風俗産業と大衆社会 売買春・恋愛の近現代史』(有志舎)と堀川祐里氏(新潟国際情報大学 国際学部国際文化学科 講師)の『戦時期日本の働く女たち ジェンダー平等な労働環境を目指して』(晃洋書房)の2作品が受賞作に選ばれました。
 当日は、選考委員、大学教員、学生などの来場者がありましたが、能登半島地震の影響により受賞者の堀川氏については来場が叶わず、オンラインによる参加となりました。
 冒頭、今岡春樹学長からの挨拶の後、女性史学賞授賞式並びに選考委員の成田龍一氏(日本女子大学名誉教授)による選評が行われました。
 次いで、寺澤氏による受賞講演が行われ、ジェンダー研究としては蓄積の多い「性風俗産業」の中でも、特に参照できる資料の少ない「私娼」に焦点を当てた研究の経緯と結果について、実際の取り組みの手順なども含めて話されました。続いて、寺澤氏の大学院生時代の指導教員である小関素明氏(立命館大学教授)から、受賞作に対する詳細なコメントがありました。さらに、二人目の受賞者として、堀川氏がオンラインで受賞講演を行いました。「生理」のような女性の身体状況が労働の場でどのように検討され、施策化されていったのかについて、戦時期の状況を中心としながら現在の労働環境にまでつなげる考察過程が示されました。堀川氏のコメントは、同じく、大学院生時代の指導教員である松丸和夫氏(中央大学教授)が行い、今後の研究への期待なども語られました。その後、オンラインで参加された堀川氏を含めて参加者間で意見交換が行われ、盛会のうちに閉幕しました。
 「女性史学賞」は、創設者である脇田氏の遺族から本学への寄附金が原資となっていますが、2022年度には女性問題図書総目録刊行会からの寄附も受け入れ、同賞の運営に活用されています。

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高岡尚子センター長(左)から授賞を受ける寺澤優氏(右)
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高岡尚子センター長(左)から授賞を受ける堀川祐里氏(右)
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オンラインによる意見交換の様子

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