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インド・パンジャーブ地方の稲わら焼きが起因、高レベルのPM2.5がデリー首都圏へ 〜高密度観測ネットワークで輸送過程を解明〜


<概要>
 総合地球環境学研究所(地球研)を中心とした国内外の大学等の国際的な研究者チーム(本学の自然科学系教授の村松加奈子が陸域リモートセンシングの研究、准教授の久慈誠が大気リモートセンシングの研究にて参加協力)が、29台の安価で正確な小型センサで構築した高密度観測ネットワークにより、インド北西部の大気汚染状況を初めて定量化しました。その結果、発生源を含むネットワーク観測が、農業残渣燃焼が地域や複数州にまたがるスケールの大気汚染に及ぼす影響の理解に有益であることを示しました。

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写真1:パンジャーブ地方の稲わら焼きの例
(2018年11月4日撮影、林田佐智子)
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写真2:PM2.5の高濃度時におけるデリー首都圏での視界不良の様子
(2023年1月14日撮影、プラビル・K・パトラ)
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図1:2022年11月2-4日の農業残渣物燃焼によるパンジャーブ州におけるPM2.5の放出とデリー首都圏への輸送の事例
赤丸が観測点の位置を示す。左図ではパンジャーブ州、ハリヤーナー州、デリー首都圏におけるPM2.5濃度の変化(オレンジと水色はそれぞれ同一州内複数地点の時間平均値と標準偏差を意味する)、右図では本期間におけるPM2.5の最大濃度(赤丸:値に応じて直径を大きくしている)を衛星による火災検知数および風向とともに示した。風ベクトルは欧州中期予報センター第5世代再解析(ERA5)の地上風(11月3日の日平均値)を表している。

詳細(プレスリリース本文)はこちら

PM2.5の測定結果はオープンデータ共有ポリシーにより 地球研データベースから入手可能です


<論文情報>
論文タイトル: Very high particulate pollution over northwest India captured by a high-density in situ sensor network

掲載誌:Scientific Reports

著者: Tanbir Singh, Yutaka Matsumi, Tomoki Nakayama, Sachiko Hayashida, Prabir K. Patra, Natsuko Yasutomi, Mizuo Kajino, Kazuyo Yamaji, Pradeep Khatri, Masayuki Takigawa, Hikaru Araki, Yuki Kurogi, Makoto Kuji, Kanako Muramatsu, Ryoichi Imasu, Anamika Ananda, Ardhi A. Arbain, Ravindra Khaiwal, Sanjeev Bhardwaj, Sahil Kumar, Sahil Mor, Surendra K. Dhaka, A. P. Dimri, Aka Sharma, Narendra Singh, Manpreet S. Bhatti, Rekha Yadav, Kamal Vatta, Suman Mor

掲載日:2023年8月14日

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