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古代の甘味料・甘葛煎の味「甘葛シロップ」の記者発表とお披露目会について

2023年7月9日、猿沢池畔の猿沢インで「甘葛シロップ」開発の記者発表とお披露目会が催されました。奈良あまづらせん再現プロジェクト員で本学大和・紀伊半島学研究所の前川佳代協力研究員と宍戸香美協力研究員、ほうせき箱店主の岡田桂子氏と平井宗助氏、ことのまあかりオーナーの生駒あさみ氏、奈良氷室神社の大宮守雅権禰宜らと、奈良県農業研究開発センターの濱崎貞弘氏が登壇し、「甘葛シロップ」開発の経緯と甘葛煎研究、甘葛煎の分析結果や開発の苦労、今後の活用方法について発表がありました。
 会場には山辺規子名誉教授のほか、メディアを含む約70人の方々がお越しになりました。参加者の皆さんには、「甘葛シロップ」をかけたかき氷が配られ、甘いのに後味が残らない、すっきりとした味を堪能していただきました。

【甘葛煎と甘葛シロップについて】

 甘葛煎(あまづらせん)は、奈良市の長屋王邸跡から「甘葛」と書かれた木簡が見つかっており、奈良時代初期には確実に存在した甘味料です。平安時代には『枕草子』にも登場しますが、江戸時代には原材料も製造方法もわからなくなってしまいました。
   奈良女子大学では、2011年に甘葛煎研究家の故石橋顕氏を招いて、構内のツタ(ナツヅタ)を用いて甘葛煎の再現実験を実施しました。その後、2016年にも実践して"奈良女子大学甘葛煎再現プロジェクト"(任意団体)として甘葛煎の啓蒙普及活動を行い、2017年以降は奈良市立鶴舞小学校5年生の総合学習として再現実験が行われてきました。2019年には奈良氷室神社やならまちのほうせき箱、ことのまあかりなど飲食店主らと、‟奈良あまづらせん再現プロジェクト"を組織し、甘葛煎の再現活動を続けるとともに、その味を現代の材料から作り出すことも目標としました。2020年より奈良県農業研究開発センターの濱崎貞弘氏の協力を得て、これまで再現した甘葛煎の化学的分析を実施して試作を重ね、この度、柿渋タンニンを使って、甘葛煎の味わいのシロップを開発することに成功しました。

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「甘葛」 平城京3277号木簡ColBase (nich.go.jp)
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ツタを用いて再現した『甘葛煎』
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甘葛煎の味を再現した『甘葛煎シロップ』
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『甘葛シロップ』をかけたかき氷

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